「・・・ここ。」
「あ?2件あるじゃねえかよ。」
「どっちだ?」
「今多分、ここ全体で1軒の家になってるわ。地図古いさかい。」
「家の特徴は?」
「純日本式の家屋。そんなに古うない。庭付き・・・ああ、そうや。」
「なんだ?」
「家主が陸軍の元曹長やさかい、何人かで行った方がええで。体も別にどこも悪うないしな。」
「元曹長・・・・」
「引退したとはいえ、曹長か・・・」
「どうします。」
「・・・・・半分はそいつの家へ行け。半分は待機だ。」
(半分・・・・)
ということは、残り5人くらいである。
「待ってください。親戚だってんなら、直接話をして箱を出してもらうように、脅した方が早いのでは?」
「それは駄目だ。あの箱は、持ち主が持ってる事に気づかないことも多いらしい。連絡して脅した挙句、あるのに『ないです』の1点張りで通される可能性もある。警戒心を煽るだけだ。」
(・・・・?この人達が探してる箱って何っ?どういうものっ?)
持ち主が存在に気づかない箱ってなんだろうか。
しかも「多いらしい」って。野良猫か何かじゃあるまいし。
「他に特徴はないか?」
「ああ、母方の親戚やさかい、表札は『真田』になってると思うわ。気つけてな。」
「わかった。よし、じゃあお前らはその家に迎え。入るのが難しそうだったり、抵抗したりするようなら殺しても良い。」
「はい。」
「・・・・・!」
殺しても良いって。
殺されてしまう。高い確率で殺されてしまう。
いくら曹長とは言え、頭に元がついている。結構な高齢だろう。
5人の若い男をいっぺんに相手にできるとは思えない。
しかし忍足は涼しい顔を崩さない。
「俺らはどうなるん?」
「は?」
「心当たりは言うたけど。」
「残念だが、手に入らない限り解放は後だな。」
「入らへんかったら?」
「身代金だ。本当は殺したい所だが、金が手に入れば見逃してやらんこともない。」
「ふうん・・・」
つまり、金が欲しいと。
面が割れてる奴を野放しにするより、金を優先したい。
金を優先したいのはなぜか。
金が必要である、のっぴきならない理由があるからである。
遊ぶ金じゃない。
この活動を続けるための資金だ。自分のためなら、危険性の方を取るだろう。
「ま、それはそれとして、お前の親戚から目を逸らすのも兼ねて先に身代金の要求だけはしておくが。」
「そういうわけだ、おら!歩け、今日の寝床まで案内してやる。」
忍足は手を縛り直された。
ついでに縛った男から軽く蹴られていた。
う、とちょっとだけ呻いた声が聞こえて、可憐は泣きそうになった。