ここは、海に程近い城。
キング・跡部を王に据える、氷帝城である。
そこに、城下町で診療所を開いている医師の忍足は、呼ばれて来たのだった。
「よう。久しいじゃねーの。」
「堪忍なあ、最近忙しゅうて。」
「構わねえよ。」
忍足家は、代々王家と繋がりがある医師の一家である。忍足自身も、ちょくちょく子供の頃から、城に出入りしている。跡部とも旧知の仲なので、あまり敬語とかは使わない。
「ほんで、誰が悪いん?」
「うちのお姫様だ。」
その返事に、忍足の眉がわずかに動いた。
「あの仕事?」
「ああ。」
はあ。
と忍足は重いため息をついた。
やりたくない。
「嫌なら他の医師に頼むが。」
「いや、俺がやるわ。」
「できるのか?」
「せんよりマシや。」
するとキツいけど、しないのもっとキツいと思う。
その思いから、忍足は承諾した。