なんて、奮戦している可憐だが。
「はああ・・・」
「しょーがないって!ソーユーこともあるある!」
部活に気を取られすぎていた反動だろうか。
返ってきた小テストは、いつもに比べたら結構散々な結果で。
元々の成績がそこそこなため、親から何か言われることはないとしても。
(でもここまで下がったことないよっ!どうしよう、やっぱりもうちょっと勉強に時間を割いた方が、ああでも、)
「可憐、前!」
「えっ?きゃうっ!」
「おっと。」
ぶつかって視界が揺らいだせいで、誰とぶつかったのか視認できなかった。
でも声でわかる。
「堪忍、大丈・・・桐生さん。」
「お、忍足君っ!」
忍足侑士は、可憐の片思いの相手である。
1年生の時は同じクラスで、忍足は男子テニス部。ごく近い所で活動しているため、何かと顔を見る機会が多く、話すようになる内に心惹かれていることに気づいたのは、去年の秋の事。
2年生になってクラスは別になってしまったが、それでも部活の敷地の距離は変わらないし、運良く交流は続けられている。
それは嬉しいけど、こういうこういう情けない所を見られる交流は嫌だ。
「ご、ごめんねっ!本当にごめんね、前見てなくってっ!」
「いや、俺も不注意やったさかい。」
「ううん、ありがー---あああっ!」
ばっ!とひったくる様にして、忍足の手から小テストを奪う。
「・・・・み、見えたっ?」
「一瞬。」
「ああああ・・・・!」
「・・・どないしたん?」
「セーセキ下がったんだって。ほら、新人戦近いからさあ。」
「下がった言うて、悪うはないと思うねんけど。」
「アタシもそー思うんだけどー。」
でも、周りはどうあれ本人は確実に気にしてる。可憐を見ていると、ありありとそのことがわかる。わかるんだけど。
「・・・ほんなら、こうせえへん?」
「えっ?」
「新人戦て9月やろ?」
「うんっ。」
「終わってから中間テストまで、ちょっと間(あいだ)あるさかい。その時、一緒に勉強しよか。」
「・・・えっ、えええっ!?」
「あ!イイじゃんイイじゃんそれ!ナイスアイディアー!」
「やろ?」
「で、でもっ、」
「それに、勉強は巻き返せるて思っといた方が、練習に集中できるで。」
その一言に、可憐はぐ、と押し黙った。
どちらかというと、マルチタスクが苦手なのは自覚してる。何かに集中すると、他のことに同じように集中できない。
忍足と勉強できるのが嬉しいのももちろんだが、勉強だけでなく新人戦出場への+になるのなら。
「・・・じゃ、じゃあお願いしますっ!」
「ええで。ほんなら、そのプランでいこか。」
「やったじゃん可憐!こりゃあ新人戦ワクももらったな!」
「そ、それはまだわかんないけどっ!」
「大丈夫やと思うで。いつも頑張ってるさかい。」
「お、知ってる風なハツゲン?」
「いつも見てるさかいな。隣やし。」
ということは、ここ最近特に、必死になってたのを見られてたわけだ。
嬉しいと思えば良いのか恥ずかしいと思えば良いのか、可憐にはわからなかった。