「うわ!」
「あー・・・・・」
可憐の部屋で再び集まって居た網代達は、驚けば良いのかとうとうやってしまいましたね・・・と思えば良いのかわからなかった。
「そんな気はしてたけどね・・・」
「言ってる場合か!茉奈花、電話電話!」
「ええ、今やってる・・・・あら?」
「え?何?」
「・・・・通話中だわ。」
『もしもし?』
「ひゃい・・・・・」
『大丈夫?怪我してへん?』
「なんとか・・・」
可憐は洗面から廊下に出たところでしゃがみこんでいた。
完全に一瞬パニックになって取り落としたスマホは、それとほぼ同時に光りだし、画面を見ると忍足からの着信だったのだ。
『ほんなら良かったわ。今どこに居るん?誰かと居る?』
「居ない・・・」
『・・・居らへんの?』
「わ、私洗面に忘れ物しちゃってっ!すぐだからと思って、一人で取りに・・・ひいいいっ!」
また落ちた。至近距離に大きいのが。
死ぬ・・・死んじゃう・・・死ぬ・・・なんて、絶対死なないとわかっているのに内心で死ぬ死ぬ呟いてしまう程度には可憐は参っている。
『落着きや。どこに居るん?迎えに行くわ。』
「い、今洗面の前・・・あ、でもっ!茉奈花ちゃん達が迎えに来てくれ ピッ! るって・・・」
あれ、今の音何。スマホからしたけど。
『・・・可憐ちゃん。』
「あっ!ご、ごめんねっ!何か今変な音がーーー」
『スマホの充電ある?』
「・・・えっ?」
言われて、慌てて顔をスマホから離した。
無情にも画面に浮かび上がる、残り10%の通知。可憐は血が下がった。
『ど・・・どうしようっ!ないっ!もう電池がないっ!』
「ああ、やっぱり。」
忍足は同室で、充電間に合わなかったー!暗いー!死ぬー!と騒いでいる部員を見やった。
何かを極端に怖がっている時、人はそれに目を奪われすぎて肝心な事を忘れるという良い例。
『どうしようどうしようっ!こんな事なら、ブルーライトなんか気にしないでもっとスマホ見ておけば良かった・・・!そしたら充電に気付けたのにっ!』
「ブルーライト・・・ああ。早めに寝よう思うてたん?」
『そう・・・スマホ見てたら眠れなくなるって聞いて・・・ってああっ!もう9%になったっ!』
「可憐ちゃん、深呼吸やで。大丈夫。洗面前やな?今から行くから、充電節約してジッとしとき。ライトも、怖かったら点けたらええけど無理には点けとかへんでええから。俺の方で見つけるわ。」
『で、でも悪い・・・ひいいっ!』
「・・・行くから、取りあえず動かんといてな。」
忍足は通話を切った。自分の充電は80%。十分。
「迎え行くの?マネジ?」
「ああ、行ってくるわ。」
「行かないで良いじゃんかよ!此処に居ろよ!頼むよ、人が沢山居ないと怖いんだよ!」
「いや、流石にマネジとお前とで天秤にかけて、お前の方選ぶ奴居ないだろ。」
「まあ部屋に2人で居れる男と、廊下で一人で取り残されとる女の子やったらなあ。」
「一も二もなくそっちだよな、普通は。」
「ぞんなああ・・・」
おんおんと喚くルームメイトをもう一人がじっとしてろと諫めてくれる声を背にしつつ、忍足は暗い部屋を出て暗い廊下に出た。
雷は相も変わらずマシになる様子もない。
忍足はもう一度スマホを起動しながら、洗面の方へ歩き出した。