Training camp – in Hyoutei gakuen -:Thunderstorm 2 - 6/9


「スマホの充電がない?」

暗い部屋の中、網代は金町と新城に見守られながら忍足と通話していた。

『せやから俺が行くわ。』
「・・・さっきまで電話してたの?」
『せやけど。』
「なるほど、通話中だったのは侑士君のせいだったのね?」
『ああ、そっちからもかけてたん。堪忍な。』

「忍足君が行ってくれてるの?」
「ぽいなあ。」

「もう向かってくれてるのよね?」
『それもそうやし、どの道俺が行った方がええやろ?危ないし。』
「・・・・まあ、それもそう、ね。」
『・・・何?』
「いいえ?何も。じゃあ任せるわ、よろしくね?」

網代はそう言うと通話を切った。

「どうだって?」
「侑士君が向かってくれてるわ。さっき通話中だったのは、侑士君が一足先に電話をかけてくれてたからみたい、ね。」
「マジか、早!私らだって、一瞬パニックになったけど大概直ぐにかけたのに。」

「・・・・うん。」

網代もそう思った。早い、と。

可憐と忍足は仲が良い。だから可憐が雷が苦手な事を忍足はきっとどこかで知っていたのだろう。それは別に不自然じゃない。いざ停電して、その事を思い出して安否を心配して電話をかけるのも普通。

きっと忍足は、電気が本当に落ちる前から気にしていたのだろう。
まずいな。大丈夫かな。ちゃんと誰かと一緒に居るかな。そう思いながら過ごしていたから、いざその時に誰より早く動けたのだ。

「・・・・・・」
「ねえ、茉奈花ってば!」
「ん?え、ごめんなさい、何?」
「いやだから、私達は部屋戻ろうって。多分忍足君、この部屋まで送ってくれるからさ。」

ここは可憐と、それから後もう2人マネジが寝泊りする部屋。
網代も金町も新城も部屋は別室で、今ここに居るのは歯磨き粉を取った可憐が此処に戻ってくるだろうと思ったからに過ぎない。もう時間も時間だし、この状況では今日はこのままなし崩し的に消灯になる可能性が高いので、忍足も居ることだし引き上げようと言っているのだ。

「ああ・・・ええ。そうね、戻りましょう。」
「お邪魔しましたー。」
「はーい。」

可憐と同室の子の一人が、スマホを見ながらひらんと手を振るのを横目に見つつ、網代も部屋を後にする。

「・・・可憐ちゃんには悪いけど、なんだか早く寝たいわ。眠くなってきちゃった。」
「まあ今日も疲れたしねー。明日もあるし。あ、でも明日はちょっと楽だっけ?」
「楽か?まあマネジ勢は比較的楽だろうけど、それでも丸一日ってきつくない?」
「まあまあ、部長様らしいスケジューリングではあるわよ。明日うとうとしないように、今日は早めに寝ちゃいましょ。」

そう、寝てしまえば朝だ。
眠って起きたら、前の日の晩に思い悩んでいた事なんて、大概は気にしないでいられるようになる。

気にならなくなるとは言わない。
でも、意識的に避けられるだけの心の余裕を作れる筈だ。

「・・・じゃ、私ここだから。おやすみ、真理。あかり。」
「おやすみー。」
「また明日ね・・・あふ。」