Training camp – in Hyoutei gakuen -:Thunderstorm 2 - 7/9


その頃、可憐は廊下の壁にへばりつくように蹲って迎えを待っていた。
電話では悪いよとか言ったが、今となっては迎えに来てもらって大正解だと思えた。通話中は多少強気になれたが、いざ電話を切ると怖い。無理。とても無理。

「ひいっ!」

また鳴った。しかも近くに。いや、光と音から察するに、遠くに大きいのが落ちたのか?もうそれすらもわからない。
どうにか自分でも進もうと試みてはいるが、こうひっきりなしに雷が落ちるとどうしても足が竦んで、遅々として進まない。
相変わらず電気は点かないし。雷は弱まらないし。スマホの充電もう無いし。

(怖い、怖い、助けて、助けて!)

「・・・助け、」


「可憐ちゃん。」


振り向くとほぼ同時に暖かい手が肩に置かれる。
懐中電灯代わりに煌々と光るスマホが、自分を助けに来てくれた人の姿をこの暗い中で教えてくれる。

「・・・忍足君っ、」
「大丈夫なん?怪我とかはしてへん?」
「うん・・・」

してないけどある意味怪我より重症だ。
腰が抜けたとまではいかないまでもほぼそれに近い状態の可憐に、忍足は手を貸してくれる。

「有難う・・・!本当に有難う、動けなかったよっ!」
「せやろな。苦手なんやから、そんなもんやで。」

ここで、雷ごときでと言わないで苦手なんだから当然と言ってくれる忍足は、とても優しいと思う。
引いてくれる手の暖かさとか力強さが、此処に居るからと言ってくれてる気がして、それだけで精神的にはとても持ち直しやすい。

とか思った端から。

「ひうっ!」
「ほんまによう落ちるな。」

こんな調子じゃあ、復旧してもまた落ちるかもしれない。と忍足は思ったけど言わない事にした。言ったって不安を煽るだけだ。

「ううう・・・・」
「・・・可憐ちゃん。」
「は、はいっ!何っ!」
「悪いねんけど、そのしがみつかれ方伸びるさかい。」
「え?あっ!」

可憐は無意識に忍足のシャツを握りしめていた。
別に良いといえば良いのだが、ここまで必死になられると多分後になったらびろびろになって使い物にならなくなる。

「ご、ごめんねっ!つい、でも、」
「別に離さへんでええで。ただ、こっちにしといて。」
「へ、」

忍足はシャツから可憐の手を外す。
そして代わりに自分の腕を取らせる。

「ほんなら行こか。」
「このまま!?」
「悪いねんけど、他にどないしようもあらへんし。」
「わ、悪いとかそうじゃないんだけどっ!でも・・・」

男の子の片腕に両腕でしがみつくのって、なんだか恥ずかしい。
気に障るとかそうじゃなくて、見てくれだけは付き合ってるみたいで。

やっぱり離そうかな・・・と思った所に、また大きいのが落ちた。

「わあああっ!」
「行こか。ぐずぐずしてても怖いだけやし。」

恥ずかしいと思いつつ、結局恐怖に負けてしがみついてくる可憐に苦笑しつつ、忍足は歩き出した。半分可憐を引きずっているので、いつもより若干重い足取りを感じながら。