Training camp – in Hyoutei gakuen -:Thunderstorm 2 - 9/9


「・・・・・・」

別れてから、忍足は自室に戻るために廊下を引き返していた。
可憐は眠れているだろうか。

(眠剤は流石になあ・・・くせになっても困るし、そんなに気軽に頼ってええもんとちゃうし。明日の天気は晴れるやろうから、明日一日で体を戻せたらええねんけど。)

なんて考えながらぼちぼち廊下を歩いていると、背後から誰かのスマホのライトが重なった。

「あれ?侑士?」
「なんや、岳人か。」
「おう。何やってんだよ?こんなとこで。」
「何て、寝よ思うて部屋に戻る所やけど。」
「通り過ぎてんじゃん。」
「・・・ほんまや。」

そう言われてふと気づくと、今正に自室の前に居たのに全然気づいていなかった。

「おおきに。ちょっと考え事しとってん。」
「へー!何を?」
「いや、可憐ちゃんが。」
「桐生?」
「今部屋まで送ったんやけど、眠れるやろかと思て。まだまだ雷酷いしな。」

こう会話してる間にも、窓の外ではゴロゴロ言っている。
ここまでくると平気な人間としては、怖いというより煩いからちょっと黙っててくれと言いたくなるレベル。

「・・・まあ、適当に寝るんじゃねえの?」
「そうやろか。」
「大丈夫だって!一人じゃねーし、彼奴だって今日一日で疲れてるだろうし!小さい子供じゃねーんだからさ。」
「まあそれはそうやけど。」
「過保護なのは良くねーの!俺前も言っただろ?覚えてねーのかよ!」

それはあの海に行った日。
更衣室で向日が忍足に対して、お前は結局誰が好きなんだよと詰め寄った時であった。

あの時向日が言ったことは2つ。
味方してやるから教えとけという提案と、相手が可憐でないというのなら可憐に対してあんまり過保護な態度に出るのは辞めておけという事であった。

別に友達なんだし、殊更冷たくなれとは言わない。そうは言わないが、八方美人な態度は辞めるべきなのだ。面倒な事になるだけだから。
ある意味ではお節介と言える向日の言動を、しかし忍足は迷惑とは思わない。寧ろその通りと思う。時として思考と行動を揃えるのが難しいのは、自分の悪い癖だ。

「わかったら侑士ももう寝ろよ!で、明日は助けてくれ!」
「結局それが言いたかっただけちゃうん?」
「違う!・・・多分。」

なんて言い合いながらおやすみ、と分かれて部屋に戻る。
明日もある。寝ないと。
合宿というのは自宅でない分余計な疲労が溜まりやすくて、ちゃんと休まないと次の日に響く。

分かっているんだ。

いるんだ、けど。