痛い。
仁王はそう感じながら目を開けた。
何か知らないけど、右足のふくらはぎの辺りが割と痛い。
なんだこれは。攣ったのか。あまり考えたくないが、悪質な虫にでも刺されたか。
「・・・・ぅ・・・・」
そもそも寝起きがあまり良い方とは言えない自分。
もっと眠っていたい気持ちを一旦脇へ置き、大層大儀という風にぼんやり目を開けて足元に視線を動かす。
そこに紀伊梨がいた。
仁王の足元に覆いかぶさるように眠っており、これによって仁王の足が妙な風に押さえつけられている。
「・・・・・おい。」
「zzzzz・・・・・」
「起きんしゃい、何やっとるんじゃ。」
「zzzzz・・・・」
「はあ・・・・」
(そもそも、此奴はなんでこんな所に居るんじゃ。)
五十嵐家はごく広い2階建てである。
そしてトイレが1階にも2階にもある。
寝起きの悪い紀伊梨は、実は幸村が起きた直後にトイレの為に起きた。しかしそれで目が覚めきるわけではなく、しょぼしょぼしながらふらふらと自室と間違って客間に入った。
かろうじて部屋を間違ったところまでは認識出来たが、自分の家だしまあ良いやと思い、移動を不精してそのまま適当に空いてた所で寝たのであった。
しかしそんな事を仁王が知るわけもない。
そんな事より、紀伊梨をどうするかである。
ぶっちゃけ、別に自分と関わりない所でだったら、如何様に寝てくれても構わないのだが。
「・・・おい。」
「zzz・・・・・」
(起こしても起きんの、これは。)
しょうがない。もうどこかに移すしかない。超邪魔。
しかし、移すと言いつつ。
(此奴の部屋がどこだか知らんダニ、戻せんの。流石に人の家に向かって、1室1室開けて確かめるのも無理があるき。)
となると、この部屋のどこかに移動させるか。
ソファベッドか。いや、落ちそう。
「・・・・お。」
良い所を見つけた。
良いじゃん。ラッキー。
「・・・よ、と。」
一応これでも女子だし、おんぶしてやる仁王。
仁王が見つけたのは、元々幸村が眠っていたスペースだった。
布団がかなりきちんと畳まれている事から、トイレのようにすぐ戻ってくるつもりはなく、完全に起きている事が伺える。
つまり、戻ってこない。良いじゃないか。
此処に寝かせよう、と決めてどさっとややぞんざいに下ろす。
そしてああやれやれ、なんて思いながら仁王は自分の場所に戻った。
眠い。
昨日は自分にしては寧ろさっさと寝た方だから、と思っていたが、知らない間にそれなりに疲れていたらしい。
壁掛け時計を見ると、時刻はまだ6時30分。
いつもの自分ならまだ余裕で寝ている。
眠ろう。おやすみ。
仁王は再度布団を被る。