「さて妹w行くぞ準備は良いかw」
「早くしろ。」
狼狽えた風もなく、トントンと肩をラケットで軽く叩く千百合。
「頑張れ千百合っちー!」
「落ち着いてるな。」
「ああ。要領の良いタイプのようだし、パネルもまだ残っている。外す確率はそう高くはないだろう。」
「千百合っち、テニスだよテニス!ゆっきーに惚れ直して貰うチャンスですぞ!」
「おっと此処にもフレンドリーファイアの達人が居ったナリ。」
「およ?紀伊梨ちゃんが何の達人だって?」
「いや、なんでも。」
今度紫希がお菓子を作ってきたら、紀伊梨の分は横取りしようと考えた瞬間、ボールが飛び出てきた。
(7、8が辛うじて並んでるから・・・ま、あの辺狙うか)
もう既に5枚抜けて、残っているのが1、6、7、8。
1、6は縦横が既に抜かれているので、テニス部に任せようと思いつつ振り抜く。
「おら。」
パン!と小気味よい音と共に、7番のパネルが抜けた。
「おっしゃ、ラッキー。」
「やったー!凄いぞ千百合っちー!」
「黙れ。」
「えー!?なんで怒ってるのー!?」
「あんなに付き合いが長いのに、どうして分からないんだろうな・・・」
「五十嵐は黒崎よりも、幸村との付き合いの方が長いき。それも踏まえると、ああいう事もあるんじゃなか。」
「兎に角、パネルは落ちた。コーナーが落ちたのは大きい。」
「凄い・・・流石千百合ちゃんです。」
「確かに、なんでもそつなくこなす方と聞いては居ましたが、お上手ですね。」
「どお?」
「うん?」
「惚れ直したりすんの?」
「うん、勿論。」
「・・・・・」
「真田君?どうかしましたか?」
「あの、真田君は、こういう幸村君に慣れてなくてと言うか・・・」
まあ、兎に角もパネルは取り敢えず抜いた。
次だ。
「さあ始まるドンw」
「うざい。」
【最近神に祈った事は?】
「おー!こーいうのもあるんだ、面白いー!」
「神に祈りか・・・ありがちなのは、腹痛の時とかか?」
「確かに体調が悪い時などは、普段祈らない神に祈りたくなるな。」
「俺は下駄箱に女子から手紙が入ってた時に祈りたくなるぜよ。」
「・・・それは、あれか?ラブレターじゃありませんように、って事か?」
「ああ。因みに、まだ祈りの甲斐あった事はないがな。」
「「・・・・・・」」
「なんじゃ?」
(神に祈った事・・・?)
そもそも千百合はそんなに信心深くない。
別に何にでも科学的根拠が無いと信じない、とかいう事じゃないけれど、神とか仏とか妖精とかサンタとか占いとか、そういうのは千百合は軒並みふーんとしか思わない。
そもそも神に祈る時というのは神様どうか助けて、と言いたくなるくらい困った時などであって、そこまで言うほど困った事って此処最近であっただろうか。
幸村関連のあれこれは、困りはするけど神様に頼むような事じゃないし。
「・・・あ、じゃあ。」
千百合が軽く両手を叩いた。
「柳生がテニス部入って、仁王とダブルス組んでくれますように、って祈る事にする。今。」
「あー!良いね良いね、それ良いじゃーん!私も祈っちゃおー!」
「あ、それなら私もやります!」
「俺も俺もw俺もやっちゃうwせーの、」
「「「「テニス部入ってダブルス組んで貰えますようにー。」」」」
「息ぴったりだろい。」
「ふふふっ。ああいう所が、皆仲良しさんだよね。」
「流石は幼馴染、という所だな。」
「これは断りづらい空気ですね・・・」
「ええぞ、もっとやれ。」
「仁王!無理強いはするものではない!」
「おや?私が聞くのはなんですが、真田君は勧誘する気は無いのですか?」
「勧誘する気はあるが、俺も彼奴らもお前に自ら進んで入って貰いたい故にこういった催しを行なっているのだ。雰囲気の力で無理に入らせても、俺達の部ではやっていけん。」
「それは任せて貰うて構わんぜよ。一旦入ればその後は、あの手この手で引き止めちゃるき。」
「仁王!」
「プリッ。」