Solicitation:1st game 2 - 6/6



「さてw1巡目ラストだ、行くぞw」
「来い!」

「・・・時に聞きたいのですが、実際真田君はこういう事はどうなのですか?」
「?どうって、何がどうなんだよ?」
「いえ、あくまでイメージなのですが。真田君は狙い打ちというより、どちらかというと力と鋭さで押していくようなテニスをするのでは、と思いまして。」
「確かに、パワーはとっても強いと思いますけれど・・・」
「心配は要らないよ、基本的には真田もオールラウンダーだから。この程度のコントールを要求されたくらいで、失敗はしないさ。」

勿論柳生の言う通り、真田はパワーとスピードで相手を圧倒する選手なので、もっと精密な針の穴に糸を通すような事を要求されれば或いはしくじるかもしれない。
だがあのくらいの大きさのパネルを抜けというくらいなら、真田が失敗なんてするはずがない。

パシュ

(さて・・・残っているパネルは3、6、8、9)

1番は幸村が抜き、4番と5番はそれぞれ紫希と柳生が抜いた。
7番を抜いた丸井は、アタックチャンスで追加で2番を抜いたので、残りは上記の4つである。

(ふむ・・・少しでも楽になるよう、残る部分を纏めておくか。)

「むん!」

真田の打球は、3番パネルを正確に抜いた。

「おお!流石だろい。」
「確かに、何も困った様子など見受けられませんね。」
「ふふふっ。言っただろう?心配しないで、って。」

「さあ本題だw行くぜw」
「ああ、遠慮は要らん!受けて立つ!」

意気込みはカッコいいけれど、お前それ何に意気込んでるって罰ゲームだぞ、とか棗は笑いながらボタンを押した。

【任意の人を1人選び】

「はーい!」

紀伊梨が高らかに手を挙げた。

「おい、何を立候補しとるんじゃ。」
「だって、私まだ当てられてないんだもーん!私だってゲームしたいー!したいしたーい!」
「でも、ビンタが来るかもしれないんだぞ?」
「う・・・」
「まあビンタはアタックチャンスの一環として少々過激だったとしても、説教くらいはくるかもしれない。」
「覚悟は出来てんの?」
「ぐ・・・い、良いよ!どんと来い!」

「ああ言ってっけど?当ててやんの?」
「・・・柳生はどうだ?」
「私は今は特に意向は。真田君の好きなようにご指名下さい。」
「特に希望が無いなら、ああ言ってるんだし五十嵐にしたらどうかな?」
「あ、あの、でも、マイナスのお題は手加減してあげてください・・・」

なんだか紀伊梨を選ぶ流れになっている。
いや確かに、別に誰が良いとかそういうのは無いし。
寧ろ順番を考えるなら、この後直ぐ回ってくる紀伊梨を選ぶのが妥当だけど。

「・・・はあ。分かった、五十嵐。お前を選ぶ。」
「おっしゃー!やったー!」

「楽しんでらっしゃいますね。」
「まあな。でも、肝心のゲームの中身は・・・」

【感謝の気持を伝える】

「逆じゃね?」
「私も逆かと。」
「逆だね。」
「逆じゃの。」
「逆だな・・・」
「ああ、逆だ。」
「寧ろどっこいじゃない?」
「あの、皆言い過ぎでは・・・」

そうは言うが、紀伊梨に具体的に感謝したい事など何かあろうか?

何時も世話になってる?
いや、どちらかというと世話を焼いてるのは自分・・・というか周りの方だし。
迷子の件は、皆尽力してくれたのだから紀伊梨だけ殊更ピックアップするのもちょっと違う気がする。
幸村が何時も世話に・・・というのも千百合に言うべきな気もするし、そもそも付き合いは紀伊梨の方が幸村とは長いのだし。

「・・・そうだな、敢えて言うなら。」
「言うなら?」
「俺は普段、演歌等を好んで聞くし、幸村の影響で多少クラシックの類も気が向いたら聞いている。」
「ほうほう。」
「だが、先日のライブで存外ポップやロックと言われる音楽も悪くはないと思うようになった。新しい発見をした気分だ。礼を言う。」

紀伊梨は目をまんまるにした。

「・・・うお。」
「?」
「お、お、おおお・・・!」
「なんだ、何が言いたい。」
「なんかわかんないけど今超感動した!」
「なんだそれは。」

「こっちにも超感動してる奴が居るけどな。」
「嬉しそうですね、春日さん。」
「はい!真田君があんな風に言って下さるなんて・・・!」
「ふふふっ。そうだね、俺もちょっと感動してるよ。」
「そこまで?」
「弦一郎は、趣味とか嗜好ががっちり固まってるからね。新しいものを勧めても、気に入る事は多くはないんだよ。」

「流行物に疎いおじいちゃんと孫みたい。」
「ああ、言い得て妙じゃの。」
「そんな事無い・・・と、言い切りにくいな、なんか。」
「実際、良い意味で真田は古めかしい考えを要所に持っている。表現としては正確だと思うぞ。」
「見た目も老けてるしね。」

「おい!聞こえているぞ黒崎千百合!」

全く、と真田は口中で呟いた。
誰が老けてるだ誰が。
老けてなんかないぞ。ちょっと年上っぽい顔つきしてるだけだからな。本当だからな。

「・・・そしてお前は何時までそうしてくるくる回っているつもりだ?」
「えー、だって嬉しいんだもーん!」
「そんなに喜ぶような」
「だってだって、それって私達のおかげで新しい音楽を好きになったって事っしょ?そんなの超嬉しいに決まってるじゃーん!」

元々そういうものを好んでいる人から、良くやった、良かったと褒められるのは嬉しい。
でも、興味の無かった人を引き込めるのはもっと嬉しい。

「これってこれって、私達のライブが心を動かしたって事だよね!ひゅー!凄いぞビードロズー!」
「たるんどる。」
「えー!?なんでよー!」
「勝って兜の緒を締めよだ!浮かれるんじゃない、成果を上げた時こそ謙虚にだな、」
「やだー!嬉しい時ははしゃぎたいもーん!」

何はともあれ、真田がこうしてパネルを抜き、一同は誰一人ミスする事無くボードに穴を開けたのであった。