「さて、3人目ですが・・・」
後は真田と紫希。
どちらも味方チームなので、出来るだけ妙な方向に話題が逸れる様な言い方は避けなければ。
「そうですね、真田君は厳しく真面目な人、という印象を受けましたね。」
「ああ、良く言われる。」
良く言われるし、逆に他のコメントを貰った事が無い。
「実際お話してみて、やはり印象どおりと言った所でしょうか。自分に厳しく、常に真面目にしていらっしゃると思っていますよ。」
「そうか。自分では当たり前の事をしているだけなのだがな。」
「柳生、騙されちゃ駄目よ。」
「どういう意味だ、黒崎千百合・・・」
「そのまんまだけど?此奴厳しくて真面目とか言ったら聞こえは良いけど、実際は融通効かないし冗談通じないし、口喧しいわ怒りっぽいわ、ほんと付き合いづらい奴よ。」
「言わせておけば・・・!お前とて同じだろう!何時も不機嫌そうな顔をして話辛いわ、興味の無い話には「怠い」「面倒い」「ああそう」の3種類しか返事がないわ、付き合い辛いのはどっちだ!」
「あんたよかマシですー。」
「その言葉そっくり返してやる!」
「ふふっ。あの2人も馴染んだなあ。」
「ああ。幸村は特に、思ったより早く事態が収束して安心したんじゃないか?」
「御明察だよ柳。2人とも俺の大事な人だから、両方と付き合いを続ける限り、どうしても顔を合わさざるを得ないからね。ホッとしてるよ。」
「あれ、馴染んでるのか・・・・?」
「あんまり細かい事気にしてると禿るぜ、ジャッカル。・・・あ、わり。もう禿て」
「禿てねえよ!」
「実際どうなんじゃ?」
「はい?」
「ちいとはクラスでの喧嘩も減っとるんか?」
「ええ。大きな喧嘩は、最近全然見かけません。・・・ふふっ、代わりに今みたいなじゃれあいは増えましたけれど。」
「うんうん、進歩ですなあ!後は2人とも、もーちょっと紀伊梨ちゃんを大切に扱ってくれたら言う事ないんだけどね!」
「これほどの無茶振りは久しぶりに聞いたぜよ。」
「ちょっとそれどーいう事ー!?」
仕返しに仁王の尻尾髪を掴もうと頑張る紀伊梨。
その姿に、紫希は微笑みが零れてしまう。
「・・・紀伊梨ちゃん。」
「うにゅ?」
「そう言っておいでですけど、真田君はああ見えて、紀伊梨ちゃんに一目置いていると思いますよ?」
「いちもくおいてる?」
「認めているという事です。」
「おお!そなの!?」
「春日、その擁護の仕方は真田の沽券に関わるぜよ。」
「関わりませんよ・・・本当ですよ?」
真田は確かに紀伊梨を良く叱る。
やれもっと勉強しろだとか、静かにしろだとか遅刻するなとか、制服はちゃんと着ろとか、とか、とか。
でも、実は紀伊梨の事を良く気にかけてくれても居る。
難しい単元の話題になれば五十嵐は大丈夫か、ついていけてるだろうか、と心配してくれているし、風の噂で紀伊梨がクラスで騒ぎを起こしたと聞くと、怒る反面怪我などしていないだろうかと気にかけてくれる。
皆で遊ぼう遊ぼうと誘われた時も、ちゃんと段取りしろと言いつつもきっちりスケジュール確認しているし、バンド活動の事で考え事をしていると、五十嵐が居るからなんとかなるだろうが、と前置きして相談に乗ってくれる。
絶対千百合の前でも紀伊梨の前でもそう口に出しては言わない。
照れくさいのかなんなのか、紫希の前でしか表だって紀伊梨を褒める様な真似はしないが、それでも真田は紀伊梨の事を見所のある友人と思っているのは確かだった。
尚、千百合も同じように、紫希の前でだけひっそり紀伊梨への好意を見せる事がよく有る。
そういう所が2人共そっくりですよね、と思いはすれど言うわけにはいかない。
「ニオニオ、もーちょっと分かりやすく言ってよー!よーごって何?こけんって眉間の仲間ー?」
「やっぱり信じられん。」
「だ、誰しも苦手な事はありますから・・・」
「だよねだよね!もー、なんか最近皆して紀伊梨ちゃんに酷くないー?優しいのは紫希ぴょんと、ゆっきーと桑ちゃんくらいのものだよー!」
「その3人にまで匙投げられたら、本格的に人としてまずい合図ナリ。」
「ええー!?」
「プリッ。」