Solicitation:1st game 1 - 7/7


「あちらは何のお話でしょう?」
「さあw所で、後1人残ってますぜw」
「春日さんの第一印象ですね。」

何を隠そう、今挙げたメンバーの中では紫希とのファーストコンタクトが一番印象的である。
あの目の前で銀髪の鬘を取った光景。
事が終わった後の、すみませんすみませんと頭を下げる姿。

「・・・そうですね、忙しい人だと思いました。」
「忙しい?ですか?」
「ええ。お会いしたのがライブの日だったと言うのも手伝っているのでしょうが、あの人のフォローが終わったら、次はこちらの手伝いへ、という様子で、ずっと人の為に忙しくしている方だと思いましたね。」
「そんな良いものでは・・・私、好きなようにしているだけなんですけど・・・」

「つまり、人のアシストが好きという事だな。」
「春日のこういう所も、昔から変わらないね。」
「しかし、このままで良いのか?」
「うん?」
「春日が優しい気質なのは分かっている。美徳だとも思うが、あまりにも自分を疎かにし過ぎるのでは無いかと俺は思う。」
「ああそれ、私も分かるわ。」
「そうか。やはり春日はもう少し、他人が居なくても何かをする力というか、敢えて言うならばもう少し自分の希望を通す我儘のような事をだな、」
「分かってねえな。」
「・・・どういう意味よ。」

「春日は頑張ってるんだぜ?」

引っ込み思案な紫希は、誰かの為にと思うとその思いが背中を押してくれて動ける。
だが、自分の為にとなると足踏みしてしまうけれど、ずっとそんな調子ではいけない事も、紫希は分かっていた。

だから、自分の為に最近の紫希は色々努力していると丸井は思う。
少なくとも自分が見て居る範囲だけで、友達になってくれと言ってきたり。
テニス教えてくれと言ってきたり、約束守ってオフレコにしているから誰にも言っていないけれど、キーボードだって練習してる。

紫希は頑張ってる。
頑張ろうと意気込んでるだけじゃなくて、覚束なくてもちゃんと行動に移している。

だから助けたくなるのかも、と丸井は意識の端っこの方でちら、と思った。

「だからそれがどういう意味なのか、って聞いてるんだけど。」
「なーいーしょ。」
「ブン太、前もそんな風に逃げてただろ・・・」
「逃げてるってなんだよ、秘密の話だから秘密だっていってるだけだろい?」

「・・・ねー!」

とうとう紀伊梨がしびれを切らした。

「ん?」
「最近ずーっと思ってたんだけど!ブンブンはちょっとずるくないですか!」
「はあ?」
「だってだって、私最初会った時、紫希ぴょんと仲良くなるのにめーっちゃ時間かかったんだよ!?それなのにブンブンは何!?仲良くなるの超早くない!?」
「それは俺も思うw」

そのスピードたるや、正に加速度的。
もし「仲良し指数」みたいなグラフがあったら、紫希と丸井のそれは正比例どころか二次曲線ではないだろうか。

「人懐っこさではトントンぐらいに見える・・・いや、五十嵐のが若干コミュ力では上くらいに見えるぜよ。」
「そーでしょ!?そーだよね、紀伊梨ちゃんだって人と仲良くなるのは得意技なんですよ!おまけに女の子同士!なのに最近は寧ろブンブンの方が仲良くしてるくらいじゃないですかー!」

「・・・・・・・」
「千百合、今「良いぞもっとやれ」って思ってるんじゃないかい?」
「やっぱ分かる?」

がおー!と吠えるように叫ぶ紀伊梨だが、意見としては千百合も一緒である。
そんな簡単に紫希の「一番仲良しの友達」の座を譲る気は無い。その席は自分と紀伊梨の物だぞ。

「紀伊梨ちゃん、確かに丸井君は良くして下さってますけど、だからって私紀伊梨ちゃんと仲良くしていないわけでは・・・」
「だって紫希ぴょん、ブンブンと内緒の話ばっかりだよーう!今だってそうだし、レモンパイの時も抹茶の約束がなんとかとかとかとかー!」
「あう・・・」
「こないだの買い出しの時もそーだよ!ブンブンばっかり紫希ぴょんの面倒見てずるいよ!私だって紫希ぴょんのお世話したいのにー!」
「うう・・・」

「こう言っては失礼ながら、五十嵐さんは記憶力が良いのですね?」
「いや、良くない。マジで。本当、これは身内だからとかそういうんじゃなくて、ガチの話だから。」
「大いなる誤解ぜよ。」
「データがあるが、後で見るか?彼奴の壊滅的な成績を。」

千百合以上に極端な集中力の発揮の仕方をする紀伊梨。
数学の定理は1時間も覚えていられないけれど、こういう事ならがっちり覚えている。

「だから!ブンブンはもー少し、紫希ぴょんを紀伊梨ちゃんに譲るべきなんですよ!」
「いーや。」
「嫌!?」
「紀伊梨ちゃん落ち着いて下さい、ね?丸井君も嫌だとかなんだとか、そういう冗談は今は・・・」
「だって譲りたくねえもん。」
「!?」

「待ってどういうことなのw」
「黒崎、諦めろ。」
「どういう意味よw何を諦めるのw」
「ブン太は何も考えてねえよ。思ったように言ってるだけだから、深読みしてもしょうがない。」
「ならせめてもう少しオブラートに包んでよwどうしてあそこまでストレートなんだよw」
「ストレートにしてたらいけない理由がないからだろうな。」
「そんなはた迷惑なw」

「分が悪いわね、紀伊梨。」
「助けんのか?お前も面白くはないんだろう?」
「確かに面白くないけど、私はなんだかんだ同クラだから。紀伊梨程寂しいとは思わないのよね。」
「そうだね。今五十嵐は、千百合も春日も揃って他のクラスになってしまって居る状態だから。そのコンディションで、丸井がドンドン距離を詰めてきているのに焦っているんだよ。」
「女子の友情は摩訶不思議じゃのう。」
「確かに。何もご自分が、春日さんの友人の座を入れ替わりで追われるわけでもないでしょうに、寂しがる事も無いと思うのですが。」
「でも友達が増えたら一緒に居られる時間は減っていくでしょ。」
「それはまあ・・・」
「紀伊梨はそれが嫌なのよ。授業中とか一緒に話せないから余計にね。」

「ブンブンのケチー!馬鹿ー!」
「まあまあ、紀伊梨ちゃん・・・」
「三段腹ー!」
「誰が三段腹だ、適当な事言うんじゃねえ!」