(ボールそのものもそうだが、これは・・・なかなか扱いづらいな)
柳を悩ませるのは、ペイントが破裂してからのインクの飛び方であった。
バチュ!と放射状に、そこそこな広範囲で広がるおかげで、無意識に飛沫に気が行ってしまう。
遮られる集中力。
ルールでは、「相手の代表者にぶつけた」方の勝ちなので、誰かにぶつかって飛散したペンキに代表者が二次災害を被っても、それは別に大丈夫。
でもどうしても気になってしまう。
気にしている場合ではないのに。
だって、今。
「はあっ!」
「むん!」
こんなに。
こんなにこんなにこんなに必死なのに!
「・・・此処だ!」
「甘いよ、弦一郎。」
「くそ!」
なんてことだ。
さっきから、真田と柳は幸村に釘付けである。
Aチームの代表者であろう、奥で縮こまっている紫希を狙うべくこんなに頑張って2人がかりで狙っているのに、全部幸村に返球されている。
自分と柳が、2人揃って手玉に取られているなんて。
「どうした、もう終わりかい?」
「ぬかせ!まだまだ終わらんわ!」
そう、終わらない。
まだまだゲームは始まったばかりなのだ。