Overnight party 2 - 3/6


たらふく食べたら、次は風呂である。

だが、幾ら五十嵐家が比較的裕福で家も結構大きいと言っても、風呂は別に多少広いくらいで普通サイズ。
しかも中学生で男女両方居るとなると、まともに順番待ちしていたら時間がいくらあっても足りない。以前ゲームしていた時のように、シャワーブースが3つも4つもあるわけではないのだから。

なので、風呂だけは最初から完全に別。
女子3人はそのまま五十嵐家の風呂へ。男子は幸村家の風呂を借りる。家が近所だという点を活かしたスケジュールである。

「家じゃあんまり感じなかったけど・・・外はやっぱり暑いな。」
「今が一番暑い季節だ。夜になっても、涼しいとは言い難い日が少なくとも後13日は続くだろう。」
「戻る間にひと汗かきそうだわw」
「はよう秋にならんもんかのう。この状態で学校まで始まると、きついぜよ。」
「ふん、堪え性が足りんのだ。そもそも、9月には流石にもう少し落ち着くだろう。」
「どうでしょうね、この気温から1度や2度下がった所で。」
「あちい事に変わりはねえよなー。はー・・・」
「ふふ。2学期になると、プールも無くなるからね。もしかしたら9月の方が厳しいと思う人も居るかもしれない。」
「げえ、そうだった。」
「頑張ってプール掃除したのになあwもう今年は用無しかw」

諸行無常ですねwなんて笑う棗のセリフで、ふいと丸井はその事を思い出した。

そうだった。プール掃除したんだった。
皆と。紫希と。

やった事としては掃除だけど、あれはあれで楽しかったなあ、なんて思い出していたら、紫希の事を考えたからだろうか。余計な事まで芋づる式に思い出した。

「・・・・・・」
「ん?ブン太、どうしたんだ?」
「なんじゃ、頭痛か。」
「・・・・違う。」

確かに、片手を頭に持って行っているから頭痛の図に見えなくもないだろうけど。
いや、ある意味頭痛なのか。

(あー・・・・)

なまじ風呂に向かう途中だったから。
この前の合宿中に小鳥遊からからかわれた事をまた思い出した。

別に風呂なんて誰だって入るじゃん。
それこそ、マネージャーがすぐ其処の部屋で入ってる中で廊下ほいほい歩いてたじゃん。
それは分かっているのに、気にすまいとすればするほど色々思い出してしまう。

あんなちっぽけなシャワーの音に、まさかこんなに振り回されるなんて。

「どうしたのw嫌なことでも思い出したのw」
「今、お前の事すげえ嫌な奴って思ってる。」
「なんで!?」

嫌な事とか言わないで欲しい。
だってこの場合、あれが嫌っていうのって大分あれじゃないか。しかし、嫌じゃないというのも大分あれ。つまりあれ。

「お前、次何かゲームする時ぜってー集中して狙ってやっからな?覚悟しろい。」
「なんでええええ俺心配しただけじゃん・・・!」
「良いの。地雷踏んだんだよ、今。お前は。俺の。」
「??今の会話に何かおかしい所などあったか?」
「まあ、無さそうに見えるからこそ地雷と呼ばれるというものですよ。」

なんて話している間に、もう幸村家が見えてくる。
ちょっと外を見ただけでも、家がでかい事とそれに劣らず庭がでかい事が伺えて、いかにも幸村家だなと初見の者は思った。

「ただいま。」

「お帰りなさい、精市。皆さんも、こんにちは。」

幸村の母を見たテニス部の感想としては、ザ・幸村の母という感じだった。
紫希の母親も娘に似ていると思ったが、それ以上に幸村は母親にそっくりだった。
そもそも顔が似ているのは、子供というのは異性の親に似るものという説の裏付けかもしれない。

松はもう自室に引っ込んで出てこない。
兄の友達がこんな大勢やってきているのにふらふら前に出て行くなんて、恥ずかしくてとても無理。

「お風呂は湧いてるので、どうぞ順番に。待っている間、リビングに飲み物とお菓子を用意しているから、くつろいで頂戴ね。」
「有難う、母さん。じゃあ誰からにしようか?俺は家主だし、一番後にするとして・・・」
「いや、こういうのはじゃんけんで良いよじゃんけんでwじゃーんけーん、」