というわけで、一同は郷土資料館にやってきた。
まずは場所の特定。
巻物に書いてある指定の場所を見つけるには、まずは当時の地理と文化を把握しなければいけないわけで。
「そういえば、今まで来たことがなかったね。」
「用事ないし、この辺。」
「俺は何回か釣り来たなあwここには入らなかったけどw」
「良いですねえ。何が釣れますか?」
「鱚とか良い感じよw」
「入館の後は、くれぐれも騒ぐな。大声もご法度だ。」
「おけです!でもごはっとって何?ご飯の仲間?」
「禁じられているという意味だ!たるんどるぞ!」
(大声具合じゃ良い勝負ぜよ。)
「丸井君、何を調べてるんですか?」
「レストラン♪こういうとこって、結構侮れねえもん出してくるんだぜい?」
「入ってるとは限らないだろ・・・」
「いや、入っている。それは下調べ済みだ。距離によっては、調べものが終わったら、食事を済ませて向かっても良い。」
「マジ?よっしゃあ!」
なんて会話しながら入館した郷土資料館はひんやりしていて、まだまだ暑い9月にはありがたかった。
しかも長期休暇を外した土曜日はなかなか空いていて、多少立ち止まったりうろついていても邪魔にならなさそう。
「では、チーム分けと行くか。」
ロビーに着くと、柳がおもむろに言った。
「え?なんで分けちゃうの?」
「無論、調べることが多いからだ。ひとつひとつ全員で手がかりを探すのは効率が悪い。3つに分けよう、とは最初から柳と決めていた。」
「へー・・・あ!じゃあじゃあ、紀伊梨ちゃん簡単なやつが良いです!」
「そんなものはない。」
「え~・・・」
「たるんどるぞ!何をしに来とるんだ!」
「だってー!」
「だけど、じゃんけんなんかで決めると、手掛かりの精度が偏るんじゃないかい?」
「分かるーw」
こういうのは結構、得意と不得意がはっきり分かれてしまうことでもある。
不得意な人間ばっかり固まってしまったら、探せと言われても多分無理。
「うむ。だから、今回はこちらで決めておいた。」
「各々言いたいことはあるかもしれないが、バランスを考えた結果だと思って我慢してくれ。」
「まあ、このメンバー内でしたら、誰と組むことになっても文句は出ないでしょう。」
「え、私紀伊梨とは嫌だ。疲れる。」
「あ、俺も俺も。」
「気が合うの、俺もじゃ。」
「そ、そこまで言わなくても・・・」
「ちょっと酷くない!?あーん、紫希ぴょーん!桑ちゃーん!2人が苛めるよー!」
「残念だが、春日と五十嵐は別だ。」
「えー!?あ、でも桑ちゃんは一緒なの?やったー!優しい人が居るー!」
「失礼な奴wこの場で紫希と桑原以外、全員優しくないかのようにw」
「そうじゃん!本当のことじゃん!」
固まって人気のないロビーで話す一同を、資料館の学芸員の男ー--館長はじっと見つめていた。
「・・・・・」
「館長、この資料・・・館長?」
「ああ・・・」
「どうかしました?」
「いや・・・なあ、あの子何か見覚えないか?」
「あの子?どの子です?」
「ほらあの・・・今たるんどるとか言った、古風な言葉遣いの。」
「ええ・・・・知りませんよ私。常連ってわけでもないし・・・」
「そっかあ?・・・いやでも、何かデジャブなんだよなあ。どこかで見た気がするんだよ・・・」
「有名人とかですか?地域の大会で優勝とかしたら、顔写真とか見かけますよ。私達公務員ですし。」
「そういうのじゃなくて・・・ええ・・・まあ良いや、思い出せないし。それより何?」
「この資料なんですけど、館長が確か以前まとめたー--」
まあ良いや。と言いつつ、彼は真田の顔がどうしても離れなかった。
ああ気になる。大したことじゃないけど、思い出せなくて気持ち悪い。
く~・・・と内心で呟きながら、彼は仕事の報告を聞くのだった。