My treasure 2 - 5/6


最後の班は千百合、幸村、それに柳。
この面子なら大抵の作業はさくっと片付くと千百合は当初思っていたが、作業の割り当てを聞いて全然そんなことはなかったと思い知った。

「・・・・・・・」
「千百合、そっちはどうだい?」
「何もない。9月の行事とか。」
「空振りか。」

この班は、ずばり「宝とは具体的に何なのか見当をつける」のが仕事であった。
宝を探すというが、探すものが何なのかわからないというのは、かなりハイリスクなことである。見つけてもそれとわからなかったり、あるいはとっくに無くなっていて然るべきなのに気づかず探し続けてしまったり。そういうことが起こりかねない。

この巻物の筆者も、誰だか知らないが具体的に書いとけよ、なんて千百合は思うのだが。まあとっくのとうに死んでいる人に、文句を言っても仕方がないし。

まあそのような次第で宝の正体を探すことになったのだが、そこで3人が出した意見としては、「9月頭に見つけろ」という条件への着目が一番近道ということだった。
なぜ9月頭じゃないとだめなのか?それがわかれば一気に正解に近づくだろう。

と、思って9月というキーワードを使い、さっきからいろいろ調べているのだが。

「精市と柳は。」
「こっちも、似たようなものかな。」
「思い当たることもないではないが、推測の域を出ないな。」
「推測はあるんだ?」

「うん。多分だけど、花畑的なものじゃないかと思うんだ。」

千百合は目をちょっと見開いた。

「え、具体的。なんで。」
「まず、9月頭に限定されて出てくるものとして、星が有力だ。周期が一定だからな。あとは何か、植物に関すること。つまり、9月に咲く花や9月に成る実などがそれに当たる可能性もある。」
「はあ。」
「ただ、木の実って言う線は薄いと思っているんだ。持ち運べない、っていう指定があったからね。」
「あー。忘れてた、それもあったっけ。そっか、だから花じゃなくて花畑か。」
「そう。風景だから持ち運べないし、時期も限られる。」
「はああ・・・星は、あ、そっか。星はどこでも見られるのか。」

なんだ。全然ダメかと思いきや、意外と特定できている。
もちろんそれと決まりきったわけではないけれど、探す当てがあるというだけで心のよりどころ。

「まあ、まだ時間もある。確定したわけではないし、もう少し探すのも良いだろう。」
「そうだね、そうしよう。」
「私休んでて良い?」
「あははっ!良いよ、俺達はこの辺に居るから。」
「ん。」

当てが出来たと知るや、一気に「もう良いじゃん」なテンションになるのが千百合の性格。

展示スペースの真ん中にあるソファに腰かける。
今空いていて良かった。誰に遠慮することもなく、ずうっとこうして座っていられる。

柳は向こうの方で、何事かしゃかしゃか書いている。本当に好きというか、こういう所が柳の得意分野なんだとしみじみ思うばかり。

「・・・・・・」

一方、自分の彼氏は展示を見ながらうきうきモードである。
お花かもね、とわかって嬉しいのだろう。紀伊梨と違って、別に浮かれてるからって騒いだりしないが、普段より明るい表情がそれを物語っている。

(ああやってると年相応なんだけど。)

当たり前だが、幸村はまだ中1である。12才。
なんだか普段一緒に居るとお前いくつだよと思うことも多いけど、まだ子供だ。全然子供。ああやってはしゃいでる顔とか。

最近は遊ぶことも減ったし、昔に比べてああいう笑顔を見る機会も少なくなってしまった。
それでも千百合は彼女ということで、比較的一緒に居られてる方ではあるけど。

(でも精市って、私の前だと実はあんまりはしゃがないんだよね。)

昔はそうでもなかった気がするんだけど、思えばいつからだろう・・・とか考え始める千百合は、全然気づいていない。男の子は、好きなこの前ではあんまりはしゃぎたがらないものなのだ。可愛い所より、かっこいい所を見て欲しいから。

ぼんやり見ていると、幸村はしまいに視線に気づいて、千百合に目を向けた。
何?と言わんばかりに首を傾げてくるけど、実際特に何もない。見てただけ。

まあ、展示よりよっぽど綺麗な顔してるから、見てもおかしくはないよね。とか内心で言い訳するのも、千百合にはよくあること。

ブーッ。ブーッ。

「ん。」

ポケットに入れていたスマホが鳴った。

目的地は日武山。
探す範囲特定済み。
山の所有者は県、一般人の立ち入り可能、登山にさほどの苦労は無しの見通し。

視界の端で、幸村が暫定ゴール地花畑、の一報を打ったのが見えた。