My treasure 4 - 6/8


一方、他のメンバーの事態は急速に収束に向かって進行していた。

「はっ、はっ、はっ、」
「千百合、平気かい?」
「まあ、この、くらい、は、」

幸村・千百合ペアは小走りで合流地点まで向かっていた。
ここはもう普通の整備された道で、足場も悪くない。

もう大分暗い。空は段々オレンジと紺色が半々くらいになり始めている。

(しかもここから下山しないとでしょー--)

面倒とか以前に、急がないと大分まずくないか、と千百合が思い始めた時、幸村のスマホに連絡が入った。
幸村は小走りをキープしたまま、通話ボタンを押す。

「もしもし?」
『あ、もしもしゆっきー!千百合っちー!だいじょーぶー?』
「俺達は平気だよ。今はもう、そっちに向かってる。」
『よしゃー!あのねー、紀伊梨ちゃんと真田っちはねー、お宝を見つけたんですよっ!』
「マジか。」

横で聞いていた千百合は、思わず声が出た。
まさか見つけるとは。それどころじゃないと思っていたのに。

『ふっふーん!えらいっしょ?しかもなんと!やーぎゅの鞄まで拾ったんですお!』
「本当かい?」
「すげえ。えらいじゃん、紀伊梨。」
『やったー!千百合っちに褒められたー!』
「いや、これは褒めるよ。」

結果的にだが、必要なことは全部紀伊梨・真田ペアがやってくれたと言っても過言ではあるまい。

「それじゃあ、後は皆で集まるだけだね。そっちは、誰が居るんだい?」
『えっとねー、あと来てないのが千百合っち達とー。あと、紫希ぴょんとブンブンもまだ!です!』
「そうなんだ。」
「わかった。とにかく、今は向かうよ。じゃあ後で。」
『ほいふー!』

幸村も千百合も、紫希と丸井がまだという点に関して、この時点で何も思っていなかった。
そもそも自分達だって合流できてないから、立場は同じだし。
それに、紫希は足が遅い。紫希に合わせたら、遅れるだろうなというのも共通見解だった。

まさか、2人して廃トンネルを別々に進んでいるなんて、思いもしない。



「よしゃおけ!」
「向かっていたか?」
「うん!来てるって!」
「どうじゃ、カードキーは。」
「ええ、ありました。五十嵐さん、真田君。本当にありがとうございました。」
「いや、運が良かっただけだ。気にすることはない。」
「うんうん!戻って良かったですなあ!」

「・・・・・」

「んじゃあ、あとはブンブン君チーム・・・桑原どうしたw」
「いや、ちょっと・・・」
「え?何?」
「春日が・・・さっきから、既読がつかないんだ。」

今の時点で、丸井が落ちて紫希と分かれたというのは揃っているメンバー全員に知らされることとなった。
桑原は、紫希に合流地点を伝えた上で、現在どこに居るのか言え、と連絡したのだが。

「気づいていないのではないか?」
「電話してみたらどうじゃ。」
「オッケー!紫希ぴょんね、紫希ぴょん紫希ぴょん・・・よしゃ、ぽちっとなー!」

音楽が鳴り始め、呼び出し音が聞こえてくる。が。

「・・・・あり?」
「出ませんか?」
「あのねー、電波の届かないとこに居るか、電源が入ってないですーって。」

「・・・・!」

柳が息を呑んだ。

電波の届かない所。
電波が悪い、ではなく届かない。

「電池切れか?」
「いや違うと思う。紫希はこういう時、切れそうになったら切れそうって言ってくるからなあ。」
「桑原。」
「ん?どうした?」
「丸井に電話をかけてみてくれ。」
「?良いけど・・・」

なり始めるコール音。そして、まったく同じアナウンス。

「・・・おいおい、」
「電波の届かない所に居る、と言われたか?」
「ああ・・・」
「え?え?え?どゆこと?2人とも電池切れてるの?」
「いや。2人揃って充電切れは考えにくい。この状況で端末が使えないことがどれほど致命的か、わからないような2人じゃない。」
「つまり、どういうことじゃ。」
「2人揃って、電波の入らない場所に居る可能性が高い、ということだ。」
「でも・・・山だろ?そりゃあそういうことも・・・」
「いえ。今まで、電波が悪いことはありましたが、まったく入らないことはありませんでした。」
「ああ、俺もそう判断した。つまり。2人は山の中でも電波がシャットアウトされる所に居ると考えた方が自然だ。」
「・・・え、待って。待って待って待って、山の中で電波が入らないって、そりゃあ・・・」

「トンネルだ。2人の割り当てルートには、宇井トンネルという廃トンネルがあったはずだ。」

全員の顔色が変わった。