『行けそうな道見つけた。俺だけで行ってくるから先に戻っとけよ?疲れただろ。』
紫希はLINEを見つめた。
ここで「落ちた」と言わないのが丸井の考えであった。
落ちたと言っても、紫希が危ない目に遭うばかりと判断したのだ。
そもそも、探しに来られるのがもうまずい。危ない。同じように落ちるかもしれない。助けを呼んでと言っても分かれていたから、そもそも自分を見つけてもらえる保証もないし。
だから、落とし物としたとかそういう嘘にするわけにもいかなかった。
自分は先に行くと言わないと、紫希が怪しむから。
なんて。
思う丸井は、考えが甘い。
「・・・・・・・」
変だ。おかしい。
これに感づく程度には、紫希ももう丸井ブン太という人間を知り始めていた。
(自分だけで行く・・・先に戻れ・・・)
そんなこと本当に丸井が言うだろうか。
柳生引き入れ作戦で遊んだ時も、高所が怖いくせして屋上へ登ろうとした自分に手を貸してくれた丸井なのに。一緒に居るために何でも言えと言ってくれたのに。
それなのに疲れただろうからと言って、置いていくのか。自分を。
「・・・・・・・うん。」
紫希は丸井が登って行った山道を見上げた。
おかしい。と思う。違和感がある。
だから確かめようと思った。
紫希は山道を登り始めた。