Training camp – in Hyoutei gakuen -:Thunderstorm 1 - 3/5


しかし午前中の半ば、思いがけず浮上してから一転。
昼の直前に可憐の内心には暗雲立ち込めることとなる。

「あれっ?」
「どうしたん?」
「あっ!あのうっ、何だかタオルがごそっと無くなっててっ!」
「ああ、それ、バスケ部に貸してしもうたんよ。」
「えっ!?」
「まあ貸してるのはうちの部活だけやないんやけどね。何か練習中に事故が起こったらしいんよ。結構出血してもうてて、それの掃除とか止血に欲しいて、バスケ部の子が今駆けずり回って集めとったけん。」
「そうだったんですかっ!?」
「うん。で、代わりのタオルは一応あるらしいんやけど、ちょっとすぐは出ないらしいんよね。第一学部棟の3階の倉庫に沢山保管してあって、でも奥の方にあるからって、今色んな部活の子が協力し合って引っ張り出そうとしてるんよ。」
「そうだったんだ・・・」
「でも、そういえばそろそろもう出たころかもわからんね。桐生さん、悪いけどちょっと取ってきてもらえん?」
「はいっ、行ってきますっ!」

こうして可憐はちょっと持ち場を離れ、校舎に引っ込むことになったのだが。




「ええと、ええとっ!確か倉庫はこの辺の筈で・・・あっ!」

廊下の向こうに、色んなジャージの女子生徒がこぞって出入りしている部屋がある。
多分あそこだ。

「あ、あのうっ!」
「え?あー、そのジャージあれか!テニス部の・・・」
「はいっ!男子テニス部ですっ!タオルを取りに来たんですけどっ!」
「オッケー。タオルはもう出てるよ。あ、ただあっちのオレンジジャージの人に言ってもらえる?発端のバスケ部の人なんだって。何本どこから貸してもらったか記録してるらしいよ?」
「有難うございますっ!」

そう言われて、オレンジのジャージを探していると、居た。
何かボードみたいなのを持って書き込みしつつ、皆に頭を下げているし、多分あの人だろう。
そしてその正面に、薄い黄緑のジャージの女子。

あの子なんだろう、あの場から動かないし・・・と思いつつ可憐は近づく。

「あのうっ。」
「はい!ええと・・・どこの部活の方?」
「男子テニス部ですっ!タオルを貸した分、倉庫から貰えるって聞いて来たんですけどっ!」
「あ!ああ・・・そうか、そうなの、うん・・・有難う、助かったわ。でもね・・・」
「?」
「・・・あの、言い難いんだけど誰か呼んだ方が良いわよ?」
「えっ?」
「この体操部の子もなんだけどね?沢山貸して貰ったから、多分一人じゃ持てないのよ。纏めて持つ用の袋とかも持ってきてないでしょう?」
「あ・・・ああ、そういうっ。」

要するに、貸した分のタオルが多すぎて、同じだけこの場で返そうとしても運ぶのに人手が要りますよと。だからそのつもりで準備した方が良いですと。成程。

(ええと・・・どうしようかな、どうしようかなっ!取りあえず茉奈花ちゃんに連絡して、誰か空いてるマネジの子とか居れば・・・)


「ああ、居った居った。」


「えっ?あ、忍足君っ!」

忍足は可憐を見つけると、スマホをちょっと掲げてみせた。

「連絡したんやけど、既読がつかへんかったから。」
「えっ?あ、本当だっ!ご、ごめんなさいっ!」
「まあ入れ違いにならへんで良かったわ。タオル多いやろ?手伝うで。」
「えっ?どうして知ってるのっ?」
「え?知ってるも何も・・・何本くらい貸したんですかて先輩に聞いたら教えて貰えたさかい。」
「そ、そっか・・・!」

またドジ。
そうだ、そもそもタオルなんて嵩張るものをどれくらいの物量なのか確かめもしないで、一人でなんとかなると勝手に思い込んで行動しちゃう方が落ち着きがないのだ。

「で、でもそれにしてもどうしてっ?練習はっ?」
「俺はもう昼休みやさかい。」
「あっ!そっか、忍足君、今日はAグループだったっ!」

昨日もそうだったが、合宿の間はグループに分かれてある程度時間をずらして食堂を利用する。そのため昼休憩の時間にばらつきがあり、今日は忍足は偶々誰より早く昼になったのだ。

「可憐ちゃんBやろ?そろそろ行かな、昼に突っ込んで昼食食べ損ねてまうで。」
「も、もうそんな時間っ!?」
「せやから行こ。手伝うし、袋も持ってきたさかいーーー」

「あの!」

黄緑のジャージの体操部の女子マネが話しかけてきた。

「・・・雨見さん。」
「あれっ?知り合いっ?」
「クラスが一緒やねん。どないしたん?」
「あのね、図々しいとは思うんだけど、お願いがあるの。」