Overnight party 3 - 6/6


ふふふ・・・・

・・・・うふふふふ・・・・

「・・・・・ん・・・・ん?」

紫希は目を覚ました。

何か聞こえる。少し離れた所から。

「・・・・ふふふっ!あはは、あははははっ!」
「・・・紀伊梨ちゃん!?」

紫希は跳ねるように上体を起こした。
笑っている。紀伊梨が凄く凄く笑っている。寝ながら。
うふふ・・・すやすや。みたいな可愛らしいものじゃない。げらげら笑っている。

「紀伊梨ちゃん!?紀伊梨ちゃん、起きてください!紀伊梨ちゃんーーー」
「あれ?紫希、起きてた・・・え、何これ。」

何という事だろう。
何気なく部屋に戻ってみたら、抜けていた僅かな間にカオスな空間になっている。

「千百合ちゃん!なんだかさっきから、紀伊梨ちゃんが寝ながら笑っていて・・・」
「えー・・・・」
「あははっ!あはははっ!あは、はーあ、はあ・・・・」
「「・・・・・・」」
「zzzzz・・・・」
「・・・何?」
「・・・良い夢でも見たんでしょうか・・・?」
「良い夢ってレベルなの、あのげらげら笑い。」

なんだか未だに顔が笑ったままだが、取り敢えず紀伊梨は再び眠りについた。
一応、と思って紫希は額に手を当ててみる。うん、大丈夫。熱とかなさそう。

「・・・・まあ、また寝たみたいだし。いや、さっきから寝てる事は寝てるけど。」
「お熱もないみたいですし、ちょっと夢現になっただけなんでしょうか。何にせよ、ほっとしましたね。」

寝てる時まで人騒がせなんだから、と思いながら千百合は横になった。

ああ、眠い。今は結構ちゃんと眠い。
ふと壁掛け時計を見ると、もう1時である。眠い筈だ。

「・・・あれ?」
「どしたの。」
「あ、い、いえ!何でも・・・」
「良いよ、そこまで眠気ピークなわけでもないから。」
「・・・あの、」
「うん。」
「私、いつ移動しましたっけ・・・?」
「・・・あー。」

紫希は、記憶が客間で皆でゲームしていた場面から途切れている。
紀伊梨が眠った事は覚えている。
まあ寝かしとこうと皆で言って、もう1ゲームして、早めに上がったから皆を見ていて、うとうとし始めて・・・・そこまでしか覚えがない。

千百合はちょっと考えた。
教えるのは簡単だが。

「・・・うんまあ、運んで貰った。」
「えっ!」
「いや紫希は兎も角、紀伊梨は絶対起こしても起きないからさ。一人運ぶのも二人運ぶのも最早一緒みたいなノリで。」
「そんな・・・!だ、誰に、重かったでしょうに、」
「いや、逆に全員平気だから。そこは気にしないで良いよ、多分重いと思うような奴居なかったよ。テニス部だったら女子の一人くらい綽綽余裕だって。」
「・・・・そ、そうなんですか・・・」
「いや、嘘じゃないよ。気遣わせない為の嘘とかじゃないからね、マジだから。なんなら明日、兄貴にでも聞いたらいいよ。」
「わ、分かりました、有難うございます・・・あの、それで、」
「ん?」
「話を戻しますけど、一体誰が・・・」
「・・・丸井。」

ぴしゃああああん・・・・!みたいな顔をする紫希。

可哀想に。
今日の風呂で既に一度いつも頼ってばかりみたいな事言ってたのに、そんな話題を出した端からこんな事になってしまって。

「一応言うけど、丸井は別に何にも気にしてないとは思う。」
「そんな風には考えられません、とても・・・!」
「まあそうよね。」

それはそれこそ今日聞いた。
丸井が気にしてるかどうかじゃなくて、紫希自信が気になって仕方がないのだ。

「どうお詫びをすれば・・・」
「まあ、明日にでも本人に聞いたら?丸井って結構、そういう意味では楽なタイプじゃん。ああしてこうしてみたいな事、はっきり言ってくれるし。」
「はい、そうします・・・はあ・・・・」
「寝られる?大丈夫?」
「寝ます・・・本当を言うと、今すぐ何で報いれば良いか聞きに行きたい位ですけど、流石にご迷惑が過ぎるので・・・」
「明日頑張ってね・・・あふ。おやすみ。」
「おやすみなさい・・・」

眠れなくなりそうと分かっていて、丸井と教えたのは気の毒だっただろうか。
まあでも、丸井なら上手くやってくれるだろう。眠い頭になると、多少はそんな事を素直に思える。

ああ眠い。本当に眠くなってきた、眠い。

(明日・・・昼、13時・・・)

13時にテニス部の練習が始まる。

だからそれまでは。
一緒に居られる。

重い瞼を閉じて、千百合は今度こそ眠った。