「拠点に入れんだと!?」
『申し訳ありません、財布どころか、ポーチごと取られてしまったもので。』
『ごめーん!俺が悪かったー!外したらいけるんじゃねとか言わなきゃ良かった・・・』
紀伊梨・真田・仁王のチームは柳生・棗ペアからの一報を受けて騒然としていた。
話を聞くと、ちょっと狭い所を通ろうとした時に、柳生のウエストポーチが邪魔になり。
見ておくから外して行ってきたら、と言って外して置いておいたところ、一瞬のうちに猿が持って行ってしまったらしかった。
『いえ、棗君のせいでは。下手に逆らうと攻撃されて怪我をしていたかもしれませんし。』
「しかし、カードキーは実際ないんじゃろ。」
『ええ、残念ながら。』
「えー、大変じゃーん!追っかけないと!どっち行ったの?」
『どっちと言われましても、猿を追うなど人間にはできませんよ。』
「えー、じゃあ何か、お猿の見た目とか!」
『見た目と言われましても・・・ああ、私のポーチそのものは黒の無地です。どこかで猿が落としていることもあり得ますので、見つけたら連絡をお願いします。』
「ほいほーい!」
「見つけたら・・・」
「連絡と言うてものう。」
もう午後の15時を回り始めている。
そろそろルートを見つけて下山の準備をしなければ、とっぷりになるまではあっという間だ。
「まあ・・・とにかく、荷物の件は了解した。意識して探そう。」
『お願いします。』
「ふう・・・」
「割と大ごとになってもうたぜよ。」
「ああ。家の鍵を落とすとは・・・いや、盗られたのか。」
「ねーねー。ゆっきーと千百合っちはまだ出てこらんないのかなー?」
「ああ、そっちもあったの。」
「連絡がないところを見ると、おそらくまだだろう。仕方がない。無理に通ろうとすると、怪我をする場合も考えられる。」
とは言いつつ、暗くなる前に幸村・千百合ペアが解放される保証もないのだ。
「・・・止むを得ない。今日の所は中止するべきかもしれん。」
「まあ、しょうがないことじゃの。五十嵐・・・五十嵐?」
紀伊梨は、明後日の方を向いて耳を済ませていた。
今だ。今あっちから、何かが動くような音がした。
「・・・・居た!」
「「え?」」
「待てー!」
「おい!待つのはお前だ・・・おい、聞いとるのかたわけが!」
猿だ。
素早いのと木の陰であまりよくわからなかったが、ポーチを持ってるかも知れない。
あっという間に走り出した紀伊梨に、仁王は完全にポカン状態だったが、真田は流石に判断がはやかった。
「仁王!お前はどこかのグループと合流しろ!」
「お前さんはどうするんじゃ。」
「俺は五十嵐を追う!俺の足なら追いつけるはずだ!」
「ほうか。」
ダッシュで追う真田。
当たり前のように2人ともフルスピードだが、ここは山だぞ。山の斜面。
つくづく人間離れしてるよなあ、なんて思いつつ、仁王はスマホを取り出し、暫定一番近い探索範囲のペアー--柳・桑原ペアに連絡を取った。